集中力

集中力とは何か             

集中を邪魔する要素について       

集中力の向上について          

グラウンド外での集中力向上トレーニング法

集中力とは何か
 中力の定義を「適切な手がかりに注意を向ける能力、及び試合中にその注意集中を持続する能力」だとしてみる。
 野球の重要な手がかり、たとえば打球や敵味方のランナー動きなど。また自分の動作に関する手がかり「上から叩こう」「低めを狙って投げよう」といったものにも注意を向けている。
 注意を向けるべきことは「適切なもの」であるべきだが、試合や練習ではつい「不適切なもの」にも気を向けてしまう。相手選手の言動、過去のミス、前日の出来事、観客の騒音などなど。
 私たちは「適切な手がかり」に気を向けなくてはならない。それを持続しなくてはならない。

 様々な注意の切り替えがプレーの最中に要求される。簡単に4個にわけてみる。
「外的」「内的」「広い」「狭い」の4つである。

注意の方向
外的内的
広い 状況を素早く見極める。
相手の守備位置など。
状況を判断してプランを立てる。
試合運び、作戦。
狭い 一つか二つの手がかりに注意を絞る。
(ボールをよく見るなど)
次のプレーをイメージして準備し
感情をコントロール。

 簡単に言えば「広い」注意集中は同時に起こっていることを知覚するのに役立っている。外野を転がっているボールの行方とカットの位置、それぞれ注意を向けないと正確なカットプレーができない。「狭い」注意の典型はボールを打つ時に余計な事を排除して、ボールだけに注意を向けることである。
 「内的」な注意は、このバッターを三振にとるにはどういう配球が良いかといった「自分自身の感情や思考」に注意を向けることである。「外的」な注意はボールや相手の動きなど外のことに注意を向けることである。
 実際どう切り替えて臨むべきなのだろう。その日の対戦相手が強敵で以前大敗しているとしよう。まずゲームプランを考える。きょうは相手投手の得意なカーブを狙おう、もっと機動力を使おうと決心する。これは「広く内的」である。次にグラウンドの硬さ風向き、太陽の位置などを確認するために「広く外的」に切り替える。練習では今日の体調、体の動き、ボールのフィーリングなど「狭く内的」注意に切り替える。試合開始では、ボールに集中するため「狭く外的」に切り替える。これらの切り替えは試合中場面場面で常に切り替わる。

集中を邪魔する要素について
 しプレーに集中できないとしたらどんな要素が考えられるだろう?
不適切な注意集中がそれを生んではいないだろうか。

1、周囲の余計な事に注意を向ける。
たとえば観客。友達などの前で良いところをみせようとする。
逆に失敗したところを見せたくないが故に必要以上に緊張する。
敵チームのヤジ、騒音など。

2、過去の出来事に注意を向ける。
ミスジャッジを引きずってしまう。味方のエラーを引きずる。過去のミスを考える。

3、未来の事に対する注意。
ここで打たれたら?ここでエラーしたら?この試合に負けたら?このリードを逆転されたら?
これらは次のプレーに集中するためには全く関係ないことばかりである。

4、分析のしすぎ、考えすぎ。
これは内的で狭い注意集中が逆に作用してしまう場合である。
たとえば暴投したとする。しかし、試合中に「ひじの位置」「球を離す位置」など分析しすぎると、スムーズなプレーに悪影響を及ぼす。
うまくいっているときはほとんど「自動操縦」に体を委ねているはずだ。
 よく言うところの「あがった状態」も不適切な注意集中によるところが大きい。
 重要な試合において、外的な注意をむけるべきところを内的な注意に必要以上に集中してしまう。負けへの恐れ、他人からの評価を気にしてしまう。
狭く内的な注意が増大し、肉体は柔軟性を失う。その結果、判断ミス、焦りによる失敗が生まれると考えられる。

集中力の向上について
 中力向上の方法を今回は考えてみたい。
まずはグラウンド上での場合。

1、視線のコントロール。
周囲の余計な物に注意を散らさないための方法である。
バットや、地面、グラブなどの一点を見つめることが有効になる。

2、ボールの縫い目を見る。
ボールへの集中の方法。
ボールの周辺をぼんやりと見るのではなくボールそのものへ集中しよう。

3、その場の1プレーに集中する。
過去や未来の事を考えず、その場プレーに集中しろということである。
特にプレーとプレーの間は他の事を考えやすい。

4、悪条件の下で練習する。
普段から悪条件のなかでプレーすることで本番でそうなっても対応できるようにするためである。たとえば炎天下や雨のなかで、いかに本来のプレーとそれらを切り離すか訓練が必要である。

5、キーワードを使う。
これは自然にみんなやっているのではないだろうか。上から叩きつけよう、低めに投げようといったこと。重要なことはその言葉が単純で、望ましい反応を引き出すのに役立つものであることだ。

6、良い悪いの判断をせず情報として役立てる。
つまり自分の良くないプレーから自分自身に単純にラベルを張ってしまうことである。
チャンスにたまたま2打席連続で凡退したとしよう。そのことで「自分はチャンスに弱い」と自分で決めつけるべきではない。あるがままの事実を判断して次につなげるべきである。「凡退したのはボール球を振っていたからだ」とか「初球の甘い球を見逃していたからだ」といったことを考えよう。

7、決断を途中で変えない。
野球は短い時間で判断を要求されるスポーツなので、一番怖いのは判断を多くすることでボールへの注意がおろそかになることだ。必要以上に裏をかくことより次のプレーに集中しよう。

グラウンド外での集中力向上トレーニング法
1、数字探し
0から99までの100個の数字が無作為に10×10列並んだ乱数表を準備する。その中から特定の数字を決め、決められた時間内にどれだけ連続する数字をマークできるかという訓練。
1分間で優れたプレーヤーだと20〜30マークできるという。

2、ボール注視
まずボールを手に取って肌触り、重さ、大きさ、その他特徴について把握する。次にボールを下に置き、そのボールに注意を集中し詳細に観察する。心がボールから離れ始めたら、ボールに注意を戻すようにする。静かな環境で5分間正視できるようになったら、雑音などがある妨害状況下で練習する。

3、イメージによる想起
これは自分がプレーしている姿を頭の中に描く方法である。

NEXT

メンタルトレーニング
自信/集中力/身体のリラックス無理のない自然な努力不安
自動性・自主性セルフコントロール楽しさ・動機づけ

ページの主旨及びその目的/メンタルトレーニング/試合前・試合中・試合後の注意点
ケーススタディまとめ

戻る

入団希望・試合申し込み・トレード交渉・お問い合わせはこちらまで
Send E-mail to:bonds@unix-fan.com