不安

 ポーツ選手1000人を対象にとったアンケートがある。それは「あなたの実力発揮を妨げているものはなにか?」という質問だった。得られた回答のほとんどは「試合前、試合中の不安を処理できないこと」だったという。それでは不安はなぜ起こるのか、原因を考えてみる。
 一つには、失敗に対するおそれである。エラーや三振、暴投などなど。これは表面的なもので、奥深いところでは周囲の評価に対するおそれが潜んでいる。「負けたらなんと思われるだろう」「失敗したらチームメイトに合わせる顔がない」「ここで負けたら臆病者と思われる」といった考えがそれだ。この周囲の評価に対するおそれは、自尊心や自分の価値を損なうのではないかというおそれとも結びついている。これはもうスポーツの枠を超えてその結果が人物の評価にまで結びつけて考えるようになってしまう。これが大きなプレッシャーを自分自身に対して与えている。自尊心がスポーツの結果に結び付いているからである。
 次に考えられるのが準備不足。「集中していない」「気持ちが盛り上がらない」「体の調子がよくない」「疲れている」「緊張しすぎている」といったもの。十分に準備が出来ていると自覚することは重要である。

 アンケートの中で選手が不安を報告する特徴は「自分が状況に左右されている」という感覚である。この逆の「自分が状況を支配している」という感覚は最高の心理状態といえる。自分の努力や行為が特定の状況の結果に影響を及ぼしていると考えるか、周囲の結果を自分ではどうすることも出来ないと考えるかの違いともいえる。あるミスジャッジに出くわした時、自分の感情をコントロールして次のプレーに立ち向かえるかミスジャッジを敗戦の言い訳にするかで精神面の強さが分かる。1つのミスジャッジで勝敗は決まらない
 過度の不安は、集中力や判断力の低下、プレーへの逃避を引き起こす。ではどうすれば良い精神状態に自分を持っていけるかを考えたい。

 ここ一番大切な試合の前、監督やコーチはどういう接し方で選手を導いたか?何とか気持ちを盛り上げるための演説や激しい叱咤などが一般的である。しかし長年の研究の結果、必ずしも功を奏さないようだ。脳には覚醒水準(脳の活動性や興奮性の水準)という物があり、それぞれ個人に適切なレベルへ導くことがよいプレーへつながる。多くの場合覚醒水準が高すぎず、低すぎず中間ぐらいが一番作業能率が上がるとされている。

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